一般的に外資系企業は給与水準が高い傾向にあるが、外資系金融機関ではその傾向は顕著になる。
総合商社やコンサルティングファームと並んで給与水準は最も高いことで知られる。
しかし、外資系金融機関から日系企業に転職する人は少なくない。
外資系金融機関に勤務する人はなぜ転職してしまうのだろうか。
外資系金融機関から転職する理由
外資系企業は日系企業よりも平均給与が高いと言われている。
なかでも外資系金融機関は全業種の中でもトップクラスの給与水準を誇る。
それにも関わらず、外資系金融機関から転職する人が少なくないのはなぜだろうか。
外資系金融機関の転職理由を紹介する。
解雇されてしまった
外資系金融機関では、日系企業と比べて解雇されやすいという特徴がある。
外資系であっても労働基準法が適用されるため、安易に従業員が解雇されるわけではない。
しかし、外資系金融機関のようにハイリスクハイリターンの採用を行っている場合、成績が悪いと解雇されることを前提に企業と従業員が雇用契約を締結する場合がある。
外資系企業は終身雇用という価値観はなく、実力主義であるから、このような雇用契約を締結している従業員の成績が振るわない場合解雇されることがある。
また、海外に本社があるため、日本国内の外資系金融機関はあくまでも支社という位置づけだ。
本社が支社の廃止を決定し、日本市場から撤退すれば、ポジションがなくなるため、退職せざるを得ない。
ただし、外資系金融機関であっても解雇される場合、再就職活動のための猶予期間を設定してくれることが多く、解雇されたからといって悲観的になる必要はない。
キャリアアップのため
一部の日系企業では終身雇用や年功序列といった雇用慣行が未だに残っている。
以前に比べると成果主義の風潮があるが、それでも年功序列の要素は大きい。
しかし、外資系企業は実力主義であることが多い。
転職はキャリアアップの機会であり、給与やキャリアのために転職を繰り返して、より条件の良い企業へ転職することは当たり前である。例えば、米国の一つの企業での在職期間は平均で4.6年という報告もあるのだ。
したがって、キャリアアップを図るために外資系金融機関から転職することは決して珍しいことではない。
退職金制度がない
日系企業の福利厚生の一つとして退職金制度が挙げられる。
退職する時に会社から退職金が支払われ、金額は勤続年数に比例する。
退職金制度は、「会社に長年貢献してきた社員に対する慰労金」という意味合いが強い。
しかし、外資系金融機関を含め外資系企業では退職金制度が存在しない。
海外では給与やキャリアのために転職を繰り返すことが当たり前であり、終身雇用制度がないため、退職金制度がないのだ。退職金制度がないため、長期間会社に所属するメリットがなく、気軽に転職できる点も従業員の転職を促進する要因の一つだ。
激務である
金融業界は比較的激務であることで知られているが、外資系金融機関の場合、さらにハードワークを要求されることがある。
外資系金融機関の本社は米国や英国に所在しており、日本支社は少数人数で運営している場合、一人あたりの業務量が多くなり、激務になってしまうようだ。また、外資系企業という性質上、本社と支社の連絡業務が頻繁にあるため、日系の金融機関よりも業務量が多くなることも多い。外資系金融機関の中でも投資銀行部門はさらに激務で知られており、睡眠時間が3〜4時間しか取れなかったり、毎日終電で帰宅するといった話も珍しくない。
このような環境で働くことで、健康を害してしまったり、精神的に病んでしまって、転職を決意する社員もいる。
外資系金融機関から日系企業に転職するメリット
外資系金融機関から転職する場合、日系企業の選択肢が圧倒的に多い。
日系企業に転職した場合にどのようなメリットがあるのだろうか。
日系企業への転職の際に検討しよう。
雇用が安定する
日系企業では、終身雇用や年功序列といった日本特有の雇用慣行が根強く残っている。
成績の悪い社員であっても解雇とはせずに配置換えなどによって対応することが多い。
一方で外資系金融機関は、成果主義であるため、雇用契約の内容によっては成果を出さない社員を解雇することもある。本社のある米国や英国ほどではないが、解雇によって雇用が安定していないと感じる社員もいるようだ。
日系企業に転職すれば、長く安定的に働くことが可能になる場合が多い。
福利厚生が充実する
外資系企業は福利厚生が最低限もしくは用意されていないことが多い。
外資系金融機関も例外ではなく、給与水準は高いが福利厚生が全くないことも珍しくない。
一方で日系企業であれば、住宅手当や交通費支給、退職金制度といった福利厚生が整備されており、社員が長期的に働くことを見据えた制度が充実している。平均的な給与水準は外資系企業に劣るが、各種手当を加えると同じ業種の外資系企業を超えることもある。
外資系金融機関から転職するときには表面上の給与だけではなく、手当を加味した給与水準を確認しておくべきだろう。
社風に馴染みやすい
外資系企業は本社のある国の社風や企業文化に影響を受ける。
海外生活の長い人や帰国子女などであればすぐに順応することもできるが、海外経験の乏しい人であれば、日系企業の方が居心地の良さを感じるだろう。
社風や企業文化に合わないと思ったら日系企業への転職を希望することも選択肢の一つだ。
教育環境が整備されている
日系企業では、終身雇用制度を前提とした教育制度を整備している。
多くの企業で新卒採用を実施し、採用した学生に研修を受けさせて、時間をかけて教育を施す。
未経験転職の場合も同様に転職直後は即戦力とは見なされず、教育してもらうことができる。
一方で外資系金融機関では、入社と同時に即戦力として働くことが求められる。
社内の研修や教育は全く無いか、あっても最低限となっていることが多い。
外資系金融機関から日系企業に転職するデメリット
外資系金融機関から転職する理由は様々だが、転職することで後悔する人が一定数いることも事実である。
外資系金融機関から転職するとどのようなデメリットがあるのだろうか。
転職を検討する際に確認しておきたい。
年収が下がる
外資系企業は日系企業に見られる年功序列を採用していないことが多く、業績が給与に反映されるため、年収が高い傾向にある。特に外資系金融機関の給与水準は大変高く、マイナビ転職によれば、全111業種の中で1位(1,683万円)の給与水準である。
日系の金融機関に転職する場合であっても給与水準が下がることを覚悟しておきたい。
また、日系の非金融系に転職する場合には年収が2分の1から3分の1程度まで下がるかもしれない。
仕事とプライベートが混同される
外資系企業の特徴として、仕事とプライベートのオンオフが明確であることが挙げられる。
海外では、プライベートの時間を大切にする傾向にあり、外資系企業も本国の働き方の影響を受けていると思われる。
就業時間中は仕事に集中するが、退勤後はプライベートの時間を大切にして、職場の上司や同僚との付き合いも少ない。激務で知られる企業であっても閑散期には有給休暇を取得することも可能だ。
しかし、日系企業の場合、就業後は職場の飲み会があったり、休日はゴルフなどの付き合いがあることもある。
また、自分の仕事が終わっても他の従業員が残っていたら、一緒に残業をするという風潮もあり、プライベートの時間が短くなりがちだ。
外資系金融機関で、外資系企業の働き方や価値観に染まってしまうと、転職後にギャップに苦しむことがある。
英語を使う機会が減る
企業によって程度の差はあるが、外資系金融機関では、英語を使って仕事をする機会もある。
社員や取引先との連絡、本社への報告業務など日常的に英語を使用し、英語力が向上するという恩恵がある。
日系企業に転職すると、英語を使う機会が減少することが多く、語学力が低下するかもしれない。
学生時代の留学や外資系金融機関での英語使用経験から培った英語力が低下する可能性があることを理解しておこう。
まとめ
外資系金融機関から転職する人の理由としては、契約終了や激務といったものもあれば、キャリアアップのためというポジティブな理由も見受けられる。退職金制度がないため、このような理由も十分に考えられる。
外資系金融機関から日系企業に転職するメリットは、雇用の安定や福利厚生・教育体制の充実などが挙げられる。
一方で、年収のダウンや、外資系企業ほど仕事のオンオフがはっきりしていないので働き方・考え方のギャップに苦しむ可能性も考えられる。また英語を使う機会は減るだろう。
それぞれメリットデメリットがあり悩む場合は、転職エージェントに相談してみると良い。様々な人の転職相談に乗っているプロであれば、可能性のあるキャリアを提示してくれるだろう。特に、アドバイザーナビは金融転職に特化した会社である。実際、コンサルタントは証券会社出身で、現場感と転職の知識の両方を持ち合わせているので一度相談してみるのをおすすめする。
\ 金融機関からの転職を考える人必見 /