銀行業界はマイナス金利政策や異業種の参入、有望な貸出先の減少といった業界構造の変化によって、厳しい状況にある。銀行の将来性に不安を抱いて転職する銀行員は少なくない。
しかし、銀行から転職して後悔している銀行員も一定数いるようだ。
後悔のない転職にするためにもこの記事で転職のポイントをチェックしてほしい。
銀行から転職して後悔すること
銀行員と言えば、「年功序列で安定している」「年収が高い」といったイメージがあるかもしれない。
大手都市銀行であれば、入社7年目〜10年目で年収1,000万円に達することも少なくない。
これだけ好待遇だが、銀行員は転職が多いと言われている。
転職理由は様々だが、銀行員から転職して後悔する人が一定数いることも事実だ。
年収が下がった
銀行員の転職で最も多いのが年収が下がることである。
銀行員は高給で知られる職業の一つだ。
大手都市銀行の総合職であれば、入社7年目〜10年目で年収1,000万円を貰っている。
これだけ早く1,000万円に達する職業は多くはないだろう。
転職先にもよるが、厳しいノルマに嫌気がさして市役所や県庁といった公務員に転職する銀行員は多い。
また、大企業特有の文化や限定された裁量を嫌ってベンチャー企業や中小企業に転職する銀行員もいる。
いずれの場合でも銀行員時代から年収が3割以上下がることも珍しくない。
生活水準を下げることは難しいことであり、転職して年収が下がった分だけ生活の質を下げられない人もいる。
また、すでに結婚して、子供がいる家庭では年収が下がることで家族に不便な思いをさせてしまい、後悔する銀行員もいる。
年収で後悔したくない人は転職後も年収を維持できるような転職をするしかないだろう。
福利厚生が悪化する
銀行は年収が高いだけではなく、福利厚生も充実している。
大企業の中でも銀行員の福利厚生は恵まれており、転職するとほとんど必ず悪化することになるだろう。
例えば、銀行員の福利厚生には以下のようなものがある。
- 家賃補助
- 家族手当
- 昼食手当
- 独身寮
- 財形制度
- 資格取得支援制度
これらの福利厚生は銀行員にとって当たり前だが、すべてを完備できている企業は大企業、中小企業問わず多くはない。
銀行以外の業種に転職して初めて、銀行の福利厚生が充実していることに気がつくかもしれない。
銀行員から転職すると、年収が下がるだけではなく、福利厚生が悪化するため、実質的な手取り額がさらに下がってしまう。
社会的信用が低下する
社会的信用とは、年収や社会的地位などに基づく個人の信用力である。
一般的に勤務する会社の規模や勤続年数、年収、雇用形態といった要素に左右される。
社会的信用が高いと住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードなど借入の審査に通りやすくなり、金利面でも優遇される。
大企業の中でも銀行員の社会的信用は高い。
特に大手都市銀行の総合職の社会的信用はトップレベルであり、大きな金額の住宅ローンを申請しても通過する可能性が高い。
銀行から転職すると社会的信用が下がることが多く、ローンやクレジットカードの審査に通りにくくなる。
したがって、銀行員から転職する前に住宅ローンやクレジットカードの申込みを済ませておくべきだろう。
残業時間が増えた
激務というイメージがある銀行員だが、他業界と比べて残業時間が長いわけではない。
銀行は法律やコンプライアンスに忠実であり、就業時間の上限規制を順守している。
現在、法律で時間外労働の上限は原則月45時間・年360時間となっているが、上限を超えないために就業時間が厳格に管理されている。
上限を超えそうになると人事部から警告が発せられて強制退社となることもあるのだ。
そして、残業時間分の給与は残業代としてしっかり支給される。
しかし、中小企業やベンチャー企業では銀行ほど就業時間に関して、厳格な管理が徹底されていないことが多い。
結果的に残業時間が増加し、プライベートの時間が減少してしまう。
残業代は毎月の固定給に含まれていることも多く、残業時間が長くなってもその分の残業代が支払われないこともある。
休日が減った
部署や支店にもよるが、銀行員は有給休暇を取得しやすい環境にある。
不正防止の観点から、夏期に連続有給休暇が付与され、海外旅行に行くことも可能だ。
一年間に10日〜15日程度の休暇が付与され、プライベートの時間も確保しやすい。
企業にもよるが、中小企業やベンチャー企業では、有給休暇制度が整備されていないことが珍しくない。
銀行員から転職することで休日が減少し、プライベートの時間を確保することが難しくなるかもしれない。
銀行員が転職しても後悔しない方法
銀行員から転職して後悔してしまう人は少なからず存在する。
銀行員は給与水準が高く、福利厚生が整備されているので、待遇面で後悔する人が多いようだ。
しかし、転職活動の時に注意することで、転職後も後悔なく働き続けることが可能だ。
年収の高い業界へ転職する
銀行は給与水準が高いため、転職によって年収が下がることが多い。
特に中小企業やベンチャー企業に転職する時には年収が3割程度下がることもあるようだ。
しかし、銀行以外にも給与水準が高い業界や企業は存在する。
また、大手都市銀行であっても若手のうちに転職することで大幅な年収ダウンを回避することができるだろう。
ある程度経験を積めたと判断したら、思い切って転職することで、転職後の待遇に不満を抱くことなく働くことができるだろう。
スキルや経験を身につけてから転職する
銀行では、金融に関する幅広い知識や営業経験が得られる。
財務や経理といった専門知識はどの業界でも歓迎される知識だ。
また、銀行員は中小企業の経営者を相手に営業活動を行っている。通常の営業と比べて、得られる経験が貴重であり、第三者でありながら、企業の内情を知ることができる貴重な経験だ。
このような銀行員のスキルや経験は他業界でも歓迎されるため、十分に経験を積んでから転職することを推奨する。それによって、転職後も給与や福利厚生の面で比較的好待遇を獲得することができるだろう。
ただし、第二新卒の採用に力を入れている企業も増えている。
銀行員は若手であっても最低限のビジネスマナーや営業経験があるため、企業側も歓迎する。
スキルや経験が不足していても思い切って転職することも選択肢の一つだ。
副業で副収入を得る
銀行員から転職すると、年収が下がってしまうことは珍しくない。
しかし、業種によってはプライベートの時間が確保しやすかったり、副業を認めている場合もある。
転職後は本業に加えて副業を始めることで銀行員時代と同等以上の給与を獲得することは不可能ではない。
銀行では、副業が許可されていないことが一般的だが、副業を認めている企業はたくさんあるので、転職活動の時に検討してみよう。
後悔したくない銀行員のおすすめの転職先
銀行での経験やスキルが活かせる職場であれば、転職で後悔することが少ないだろう。
「転職してから後悔したくない」と考えている銀行員におすすめの転職先を解説する。
金融業界
銀行員から他の金融業界に転職する人は多い。
証券会社や保険会社、ファイナンシャルプランナーなどが代表的な転職先だが、中には他の銀行に転職する銀行員もいる。
金融業界に転職する最大のメリットは前職の経験を活かせることだ。
金融法制の改正によって銀行は証券業界や保険業界に参入しており、銀行の窓口で保険や投資信託の販売ができる時代になった。銀行員であっても融資だけではなく、金融商品の知識が求められており、元銀行員は他の金融機関で十分に通用すると言えるだろう。
IFA
IFAとは、“Independent Financial Advisor”の略称である。
日本語では、「独立系ファイナンシャルアドバイザー」や「独立系金融アドバイザー」と呼ばれている。
「独立系」という名前の通り、IFAはどの金融機関にも所属せず、中立・公平な立場から、顧客に金融アドバイスを提供し、金融商品の販売・勧誘を行っている。
幅広い金融商品の知識がある銀行員であれば、前職の経験を活かして、IFAとして活躍することが可能だ。
まとめ
銀行からの転職にはさまざまな選択肢がある。
大手金融機関であることから給与や祝日、福利厚生などの条件が手厚く、よく考えずに転職してしまった場合は後悔することも少なくないようだ。
しかし、銀行の会社としての将来には不安を抱えている人が多いことも事実であり、転職して良かったと思えるように自分の理想の働き方をよく考えることが重要である。
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