IFAとは、”Independent Financial Advisor”の略称である。
日本語では、”独立系ファインアシャルアドバイザー”と呼称されている。
「貯蓄から投資へ」という社会的潮流の中で、IFAのニーズは高まっている。
IFA法人(金融商品仲介業者)を設立して、IFAの営業活動を行うためには、様々なステップを踏む必要がある。
記事では、金融商品仲介業者になる方法を解説する。
IFAの活動を行う方法
IFAは、証券外務員の資格さえ持っていれば、誰でも名乗れるものではない。
IFAとして営業活動を行うためには2通りの方法が存在する。
- IFA法人(金融商品仲介業者)に所属する
- IFA法人(金融商品仲介業者)を設立する
一般的な方法はIFA法人に所属する方法だ。
IFA法人に所属するためには「正社員雇用」と「業務委託契約」から選択することになる。
正社員雇用は、雇用が安定し、固定給が貰えるが、業績が給与に反映されにくい。
業務委託契約では、業績が給与に直結するが、雇用は保護されていない。
一方で、IFA法人を設立する人は少数派だ。
通常の会社同様に法人を設立するだけではなく、証券会社との業務委託契約や財務局への登録作業など踏むべきステップが増えるからだ。
他の業界の会社設立よりも時間と労力がかかるため躊躇する人は少なくない。
金融商品仲介業者とは?
IFAが所属するIFA法人は金融商品仲介業者である。
IFAとして活動するためには、「金融商品仲介業者(IFA法人)に所属する方法」と「金融商品仲介業者(IFA法人)を設立する方法」がある。
法的には、金融商品仲介業者とは、証券会社(金融商品取引業者)の業務委託を受け、「有価証券の売買等の媒介」や「有価証券の募集、もしくは売出しの取扱い」などを行う法人、個人を指す。
本来、有価証券の取り扱いは証券会社にのみ認められていたが、金融商品取引法改正によって、新たな金融商品販売として誕生した。
ただし、金融商品仲介業者として営業活動を行うためには内閣総理大臣の登録を受けることが必要である。
ちなみに顧客から現金や有価証券の預託を受けることは証券会社が行っており、金融商品仲介業者は許されていない。
金融商品仲介業者になる手順
金融商品仲介業者として営業活動を行うためには、いくつかのステップを踏む必要がある。
金融商品仲介業者については、金融商品取引法が規制しており、法律の規定に沿った対応が必要だ。
他IFA法人で勤務し経験を積む
厳密に言えば、他IFA法人で勤務した経験がなくてもIFA法人を設立することは可能だ。
しかし、業務委託契約を募集している証券会社の多くは他IFA法人で勤務し経験を積むことを強く推奨している。
IFAとして活動した経験がないと、IFAの働き方やビジネスモデルといったIFA法人を経営するために必要不可欠な知識が身に付いていない。
そのため、証券会社では、IFAで勤務することを推奨しており、後述する証券会社の審査や面談においても勤務経験が重視される。
法人登記を行う
管轄地の法務局で法人登記を行う必要がある。
法人登記を行うためには、事前に以下の作業を完了しておかなくてはならない。
- 基本事項の決定
- 定款の作成・認証
- 資本金の払込み
- 登記申請書類の作成
法人登記の申請は資本金の払込みから2週間以内に行う必要がある。
登記申請書類を法務局に提出した日がIFA法人の設立年月日となる。
法人登記の申請に際しては「定款認証費用」「収入印紙代」「登録免許税」の3つの費用が必要となることに注意が必要だ。
これらの費用は合計で20〜25万円程度だが、税理士や弁護士のサポートを受けた場合、さらに費用が必要になる。
業務委託を受ける証券会社の審査・面談
IFA法人は顧客に提案・販売する独自の金融商品を持っていない。
証券会社と業務委託契約を締結し、証券会社が販売している金融商品を販売するのだ。
ちなみにほとんどの証券会社は個人のIFAと業務委託契約を締結していない。
法人を設立するのはそのためだ。
業務委託契約を締結するためには、証券会社が実施する審査に通過する必要がある。
証券会社にもよるが、具体的な流れは以下のとおりだ。
- 証券会社が実施する説明会や個別面談への参加
- 証券会社の担当者との面談
- 必要書類の提出
- 導入研修・証券外務員登録
最も重要なのが証券会社の担当者との面談である。
面談で聞かれる主な事項は以下のとおりだ。
- IFA法人を設立した理由
- これまでのIFAとしての活動実績
- IFA法人に参画したメンバーとその経歴
- IFA法人の資本金
- 顧客獲得のための経営戦略
証券会社の担当者に「このIFA法人なら成功するだろう」と思ってもらわないと審査を突破することはできない。
金融商品仲介業業務委託基本契約を締結する
審査に通過して、証券会社に必要書類を提出すると、業務委託契約を締結することができる。
具体的には「金融商品仲介業業務委託基本契約」もしくは「金融商品仲介業に関する業務委託基本契約書」を締結する。
日本証券業協会によれば、契約書には以下の事項が記載される。
- 金商法その他の関係法令を遵守すること
- 証券会社が指導及び監督すること
- 外務員の職務禁止措置を行わないこと
- 資料提出や検査に関する事項
契約書は証券会社が用意するが、内容はしっかり確認する必要がある。
必要書類を財務局長に提出する
必要書類を管轄の財務局長に提出し、金融商品取引業登録申請を行う。
申請から登録までにかかる期間の目安は6ヶ月から1年程度だ。
ただし、申請内容や申請状況によって期間は変動する。
金融商品取引業者として登録されると、金融庁のホームページで社内や所在地が公表される。
ちなみに金融庁は無登録の業者も公表しており、無登録営業には罰則が設けられているので絶対にしないこと。
導入研修を受講する
業務委託契約を締結した証券会社が実施する導入研修を受講する。
導入研修では、主にコンプライアンス研修やシステム導入の研修が実施される。
また、営業活動における事務手続きの策定についてサポートしている証券会社もあるようだ。
IFAを日本証券業協会に登録する
IFA法人の設立後、業務委託契約を締結した証券会社を通して外務員登録を行う。
すでに登録を受けている場合には不要となる。
金融商品仲介業者になるにあたっての注意点
金融商品仲介業者は金融商品取引法の規制を受けているため、厳格に法規制に対応する必要がある。
また、会社設立から財務局で登録されるまでの長いプロセスで様々な諸費用が発生する。
すべてのプロセスを円滑に進めるために注意しておきたいポイントを解説する。
財務局に提出する書類を確認する
必要書類を管轄の財務局長に提出し、金融商品取引業登録申請を行わないとIFA法人として営業活動を行うことができない。
仲介業登録申請書類は以下のとおりだ。
- 登録申請用紙
- 会社誓約書
- 金融商品仲介業にかかわる業務の内容及び方法
- 業務分掌の方法
- 金融商品仲介業新規登録申請者の概要について
- 会社の沿革
- 誓約書(参画メンバー全員分)
- 履歴書(参画メンバー全員分)
- 委任状
申請書類に不備があると、審査期間が長引くので注意が必要だ。
IFA法人の設立にかかる費用を確認する
IFA法人の設立でかかる費用は主に法人登記申請によるものだ。
- 定款認証代
- 業務委託基本契約書貼付収入印紙代
- 公証人手数料
- 謄本代
- 登録免許税
- 印鑑証明書代
- 登記簿謄本代
- 行政書士・司法書士への報酬
- その他インフラ費用
すべて合計して25〜50万円程度必要になるだろう。
すべての証券会社がIFA仲介業を行っているわけではない
証券会社が販売している金融商品を販売するためには、証券会社と業務委託契約を締結する必要がある。
商品ラインナップが豊富な証券会社であれば、顧客の金融ニーズに応えることができるだろう。
しかし、すべての証券会社がIFA仲介業を行っているわけではないことに注意したい。
IFA仲介業を行っている証券会社は以下のとおりだ。
- SBI証券
- 楽天証券
- あかつき証券
- PWM証券
- 東海東京証券
- マネックス証券
- 証券ジャパン など
当然、業務委託契約を申し込む前に証券会社の販売している商品やサービスは確認しておきたい。
まとめ
IFAになるには、IFA法人に所属するもしくは、IFA法人を設立するの2つの方法がある。
ただ、いきなりIFA法人を設立するのは現実的でないため、まずはIFA法人に所属して活動してみることをおすすめする。中には、入社時に将来IFA法人を立ち上げたいと伝えると、独立までサポートしてくれる法人も存在するので、所属IFA法人はしっかりと選びたい。
とはいえ、IFA業界はまだまだ中小企業が多く情報も閉鎖的な部分があるので、IFAへの転職を考えたときには転職エージェントに相談することをおすすめする。アドバイザーナビは野村證券出身者が立ち上げており、IFA業界特化型の転職エージェントである。証券業界出身かつIFAに特化しているからこそ、転職先はもちろん、IFAとして活躍するためのサポートも手厚い。IFA法人選びに迷ったら一度相談してみると良いだろう。
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