IFAとは、「独立系ファイナンシャルアドバイザー」のことである。
IFAの前職は証券会社勤務であることが多い。
IFAは証券会社出身者が多い?
金融商品の販売を行うという仕事内容はIFAと証券会社で共通している。
したがって、証券会社出身であれば、IFAの仕事にすぐに馴染むことができるだろう。
実際にIFAの前職には証券会社が多いのだろうか。
アドバイザーナビが2023年1月16日から2023年3月16日に現役IFA218人に対して実施した調査によれば、IFAの前職は以下のとおりであった。
出典:アドバイザーナビ株式会社が運営する「IFA転職」より
調査結果から、分かるように、IFAの前職として、圧倒的に多いのが証券会社である。
IFAと証券会社の関係
IFAは、独自に金融商品を持っていないため、証券会社と業務委託契約を締結し、証券会社の金融商品を販売している。IFAのビジネスモデルを見ると、証券会社と密接な関係にあることが分かる。
IFA・証券会社・顧客の関係は以下のとおりだ。
- 顧客がIFAに金融関連の相談をする
- IFAが顧客に金融商品を提案する
- 顧客が金融商品を購入する意思をIFAに伝える
- IFAが証券会社に申込内容を伝達する
- 証券会社からIFAを通じて、顧客に申込書類が送付される
- 顧客はIFAを通じて、証券会社に申込書類を送付する
- 顧客の証券口座が証券会社に開設される
- 顧客が証券口座に入金した資金で金融商品を購入する
- 証券会社からIFAに手数料報酬が支払われる
このようにIFAは顧客と証券会社の仲介を行い、契約が成立したら証券会社から報酬を受け取っている。
証券会社からIFAに転職するメリット
証券会社といえば、「高給」や「安定」といったステータスで知られている。
しかし、証券会社のポジションを捨てて、IFAに転職する証券マンは少なくない。
証券会社を辞めて、個人事業主のIFAとして働くメリットはなんだろうか。
顧客本位の提案ができる
証券会社は表向き「顧客ファースト」を掲げているが、実態は異なるようだ。
証券会社は手数料ビジネスであるから、高い手数料を得られる金融商品を勧める傾向にある。
仕組債やデリバティブ商品など金融初心者には難しい商品であっても手数料が取れるなら顧客に購入を勧めるのだ。
しかし、IFAは「独立系」という名称の通り、金融機関に所属せずに中立・公平な立場だ。
ノルマもないので、顧客の資産状況やリスク許容度に応じた商品を勧めることができる。
証券会社の強引な営業に不満を抱いた証券マンが、顧客本位の提案をするためにIFAに転職することは少なくない。
資格や経験を活かすことができる
雇用形態や立場は異なるが、証券会社とIFAの仕事は似ている。
顧客に金融商品を販売し、必要に応じて金融関連のアドバイスを提供する。
IFAに転職した場合、証券会社時代の営業スキルや金融商品に関する知識をそのまま活かすことができる。
IFA法人は即戦力となる証券会社出身者を求めており、応募資格には「証券会社に勤務した経験があること」を挙げていることが多い。
また、IFAとして働く上で必須となる証券外務員や生命保険募集人資格などの資格を証券会社時代に取得が必須となるので、資格の面でもすぐに働くことができる。
勉強して、せっかく取得した資格を活かすことができるので、IFAへの転職は魅力的な選択肢だ。
ノルマに追われない
IFA法人では証券会社のようなノルマは存在しない。
証券会社では、「販売手数料ノルマ」「新規口座開設ノルマ」「純増ノルマ」「募集物消化ノルマ」といった多種多様なノルマが設定されている。これらのノルマは達成が容易ではないが、達成しないと他の社員に迷惑を掛けたり、上司から叱責を受ける。
しかし、IFAは個人事業主として働くので、ノルマはない。業績を上げれば、それが給与として反映される仕組みであり、給与を考慮しなければ、業績が上がらなくても問題ない。
証券会社時代にノルマに追われた生活をしていた人やノルマを達成できなくて、上司から叱責を受けた経験があれば、ノルマのないIFAという働き方は魅力的だ。
自由な働き方ができる
IFA法人にもよるが、基本的にIFAは自由な働き方が認められている。
IFAは個人事業主なので、自分の裁量によって、働き方を選ぶことができるのだ。
オフィスへの出勤義務がなく、リモートワークで勤務して、顧客との商談のときだけ外出すれば問題ない。
また、一日の就業時間の下限もなく、顧客との商談以外は好きな時間に始めて、好きな時間に退社してもいいだろう。
一方で証券会社ではこのような働き方はまず無理だろう。
毎日オフィスに出勤し、決まった時間に仕事を始めて、夜は遅くまで残業することがしばしばだ。
束縛された働き方から現代の自由な働き方に転換したい場合にIFAは魅力的な選択肢となる。
実力次第でたくさん稼げる
証券会社の社員とIFAは雇用形態が異なる。
証券会社では会社に所属する社員だが、IFAは個人事業主として働いている。
したがって、会社員としての固定給は存在しないが、結果次第で青天井で稼ぐことも可能だ。
IFAは、顧客が証券会社に支払った手数料の50〜75%程度を報酬として受け取ることができる。
給与の上限や勤続年数による給与テーブルもないため、業績を上げた分だけ給与を受け取れるのだ。
証券会社で結果を残し、自分の実力を試したいと考えている人やより高い給与を狙いたい人はIFAにキャリアチェンジしてみてもいいだろう。
証券会社からIFAに転職するデメリット
証券会社時代の経験やスキルを活かせるIFAは転職先として魅力的だ。
しかし、雇用形態や働き方の違いから生じるIFAならではのデメリットも存在する。
IFAに転職する前にデメリットについて十分に検討しよう。
給与が安定しない
証券会社の社員であれば、ノルマを達成できなくとも固定給を受け取ることはできる。
しかし、IFAは個人事業主だから、業績をあげないと給与が受け取れない。
社員のように固定給がなく、最悪の場合給与が一切ないということもある。
たとえ実力のあるIFAであっても稼げないときもある。金融商品の売上高は相場環境に影響されるが、リーマンショックやコロナショックなど相場にマイナスの影響を及ぼす出来事を予測することは難しい。
自分のコントロールが利かないところで業績をあげられず常に給与が安定しない環境は意外と厳しいものだ。
IFAに限らず個人事業主になったものの、もう一度社員に復帰したいと考える人もいる。
社会的信用に劣る
社会的信用とは、高い経済力や社会的地位などに裏付けされた信用力を指す。
IFAは個人事業主だが、一般的に個人事業主の社会的信用は低い。
社会的信用が低いと住宅ローンやクレジットカードの審査に通らないことがある。大手証券会社に勤務している人は証券会社時代と比べて、信用力が下がったことを痛感することがあるかもしれない。
IFAに転職することを選んだのであれば、転職前にローンやクレジットカードの申込みを済ませておくべきだ。
証券会社からIFAに転職する時のポイント
証券会社からIFAに転職するときには転職サイトや転職エージェントを通じて、求人を探すことができる。
IFA法人は証券会社出身者を歓迎しているため、採用のハードルは高くないだろう。
求人に応募するときには雇用形態を選択することになる。
「正社員雇用」と「業務委託契約」があり、大抵は後者を選ぶことになる。
業務委託契約とは、個人事業主として働く方法であり、業績次第で稼ぐことができる。
個人事業主として働くことに不安がある場合、最初は正社員として働き、業務委託契約に転換することも検討しよう。
まとめ
「安定」「高給」と言うイメージがある証券会社ではあるが、実際に働いてみて顧客本位の提案ができないことやノルマなどに悩む証券マンは多いようだ。
証券会社での経験を活かしつつ、より自分らしく働ける環境としてIFAを選択する人が増えてきている。
転職を考える際には、選択肢の一つとして考えてみても良いのではないだろうか。
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